上田真由美 2024年7月17日 8時00分
ひと昔前までビデオやカセットなどの磁気テープは、記録媒体の主役だった。日常生活を映した家庭にある膨大なホームムービーにとどまらず、希少な文化的な記録も残されている。ところが再生機器が消えていき、テープの劣化も進むなか、こうした身近な「遺産」が消滅の危機に瀕(ひん)している。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)は2019年7月に「マグネティック・テープ・アラート」というプロジェクトを始めた。磁気テープは、25年までにデジタルデータ化されなければ大半が永遠に失われかねないと警鐘を鳴らし、世界での調査や対応を求め始めた。
8ミリなど古い時代から使われてきたフィルムは適切に保存すれば長持ちして再生も可能だ。対して、フィルムからデジタルへの移行期にあたる1970年代から00年代にかけて普及した磁気テープは、すでに再生機器の製造や保守サービスが終了しており、やがて視聴できなくなる。テープそのものの劣化も危惧され、劣化が進むほどデジタル化は難しくなる。
国立映画アーカイブの冨田美香・主任研究員は「磁気テープが広く使われたのは、家庭用ビデオが普及し、映像が手軽で身近になった時代」と話す。だからこそ、歌舞伎の練習風景のような伝統芸能、祭りなどの民俗や伝統工芸の記録、歴史研究者が聞きとったオーラルヒストリー、さらには工場の風景や線路・道路の建設といった産業の記録など、様々な機関が多様な題材を磁気テープに残してきた。
磁気テープに保存されてきたのは、身近な生活の記録だけでなく、もう再現できない文化的な記録も。視聴覚資料をデジタル化する会社「東京光音」には、博物館などからの依頼が相次いでいるそうです。
■沖縄各地の「アカマタ婿入り…
この記事は有料記事です。残り1142文字
有料会員になると続きをお読みいただけます
引用元: ・ビデオ・カセットの記録、消滅の危機 ユネスコ警鐘「25年までに」 [少考さん★]
コメント